ホスピタリティマナーとは、ホテル等の接客業でよく使われますが、最近では医療・介護現場でも使われるようになっています。中でも、介護は対人援助の仕事で利用者と深く関わるため、介護技術以外にも、マナーや言葉づかいなどのコミュニケーション能力、常に見られている意識や思いやり、おもてなしを意味するホスピタリティマナーも必要です。利用者にとっては、知り合いの少ない不慣れな場所での生活に不安を感じる人もいて、眠れなくなったり落ち着かない人もいるようです。心身ともに弱い立場の利用者とその家族に安心して任せてもらうためには、利用者が負い目や不快感を感じないように、その人の自尊心を大切にした配慮が求められますが、ホスピタリティマナーが向上すれば、その介護施設の強みにもなって、利用者とその家族の満足度も高まる傾向があります。
例えば、緩和ケア・ホスピスで過ごす末期患者の場合。ベッドメイクや衛生保持などで心地よい環境を整えたり、残された時間の苦痛をなくし、その人らしく過ごせるよう、食事や排せつなどの日常生活動作をリハビリで拡大する支援をします。そして、優しく話を聞いて寂しさや不安を和らげたり、見た目が気になる・症状で周囲の目が気になる患者にはそっと声をかけて場所を移動する等の配慮をします。他にも、介護は利用者の身体や寝具などに触れる機会が多いので、清潔感ある身だしなみは勿論、ケガや感染症の予防として爪を短くしたりアクセサリーを外すことも大切です。